日時

2025年8月20 日（水）10:30-12:10（JST）

分野

ハイレベルイベント

会場（開催形式）

横浜ベイ（ハイブリッド開催）

共催

UNDP, UN Human Security Unit

背景

人間の安全保障という概念は、安全保障を国家主権と軍事的防衛の観点から定義してきた従来の国家中心のアプローチの限界に対応するものとして、1990年代初頭に登場した。1994年に発表された国連開発計画（UNDP）の「人間開発報告書」は、国家だけでなく、個人の安全保障を強調することで、画期的な発想の転換をもたらした。この新たな枠組みは、恐怖からの自由、欠乏からの自由、尊厳をもって生きる自由の重要性を強調し、安全保障に対する脅威は武力紛争に限らず、貧困、不平等、健康危機、環境悪化なども含まれることを認識した。それ以来、人間の安全保障の概念は、様々な国連事務総長報告書（2010年、2012年、2014年、2024年）を通じてさらに発展してきた。これらの報告書は、リスク情報に基づいた、予防志向の、人間中心の安全保障アプローチに関する世界的な議論の枠組みを作るのに役立ってきた。人間の安全保障に関する2022年国連開発計画（UNDP）特別報告書は、「人新世における人間の安全保障への新たな脅威：人間の安全保障に関する2022年国連開発計画（UNDP）特別報告書は、「人新世における人間の安全保障への新たな脅威：より大きな連帯を求める」と題し、気候変動、パンデミック、デジタル・ディスラプション、社会的分断といった新たな脅威を考慮するために、その枠組みを拡大した。

アフリカは依然として、多次元的な安全保障上の脅威に対して最も脆弱な地域のひとつであり、緊急かつ包括的な解決策が求められている。アフリカ大陸は、平和、安定、持続可能な開発を脅かす、持続的で相互に結びついた課題に直面している。

こうした課題を認識し、UNDPアフリカ地域局（RBA）と国連人間の安全保障ユニット（HSU）の共同イニシアティブである「2025年アフリカ人間の安全保障報告書（AHSR）」は、アフリカにおける人間の安全保障の状況を評価し、政府、開発パートナー、市民社会関係者のために実行可能な解決策を提案することを目的としている。

1993年に始まったアフリカ開発会議（TICAD）は、アフリカ開発のための最も重要な多国間プラットフォームのひとつとなっている。日本政府、アフリカ連合委員会（AUC）、UNDP、国連、世界銀行が共催するTICADは、歴史的に平和、ガバナンス、人間中心の開発を重視してきた。TICAD9（2025年8月、日本・横浜）は、以下のようなタイムリーな機会となる：
- 人間の安全保障をアフリカの将来的な発展の柱として位置づける。
- アフリカが直面する人間の安全保障上の課題に対処するため、世界戦略と地域戦略を整合させる。
- アフリカ政府、国際ドナー、民間セクター間のパートナーシップを強化する。

このハイレベルなテーマ別イベントは、「アフリカ人間の安全保障報告書」の調査結果を紹介し、アフリカの将来のために人間の安全保障がどのように政策、ガバナンス、多国間協力を形成しうるかについて議論を進める重要な場となる。

キー・クエスチョン

• （1）現在の多元的な安全保障への脅威の下、アフリカにおける人間の安全保障はどのような意味を持ち、どのような正当性があるのか？
• （2）人間の安全保障アプローチは、SDGsとアジェンダ2063の達成に向けて、どのように政策と実践に反映させることができるのか？
• （3）開発実務者が行動を起こすためのエントリーポイントは何か？公共部門と民間部門の役割は何か？

目的

• （1）変化するアフリカの状況における人間の安全保障の有効性を評価する。
• （2）SDGsとアフリカのアジェンダ2063の達成における人間の安全保障の役割を明らかにする。
• （3）政府、民間セクター、市民社会にとってのエントリーポイントを明らかにする。
• （4）アフリカ人間の安全保障報告書（AHSR）からの洞察を紹介し、その政策的含意を探る。
• （5）人間の安全保障に関する議論において、アフリカのリーダーがオーナーシップを発揮するための戦略に関する対話を促進する。

登壇者